ニセモノ師たち (講談社文庫)



ニセモノ師たち (講談社文庫)
ニセモノ師たち (講談社文庫)

商品カテゴリ:アート,建築,デザイン
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だましだまされ

 2001年に出た単行本の文庫化。
 骨董業界には偽物が付き物だ。数が限られており、新しくつくることも出来ない。一方で金のある購買層はいるから、偽物でうまく騙すことが出来れば、ものすごい儲けになる。
 本書は、中島氏の見聞きし、体験してきた偽物について熱く語ったもの。巧妙な手口、骨董界の闇の部分、偽物をつくる技術が色々と紹介されており、けっこう勉強になる。
 面白いのは、著者の偽物に対する態度。けっして言下に否定したり、弾劾したりはしないのだ。また、知人の買ったものが偽物と分かっても、はっきり口に出したりはしないらしい。業者同士でも騙しにはルールがあるともいう。このあたり、独特な世界であり、興味深い。
 偽物を通して中島氏の半生が語られているのも貴重。
これは面白い!!

著者については、テレビの「何でも鑑定団」以上のことは知らないし、骨董にそれ程興味がある訳ではないし、買ってみたこともない。そんな人が読んでもこの本は面白い。

テレビでのあの語り口そのままの文章(口述筆記?)で綴られる、骨董の世界におけるニセモノの話であるが、若い頃から養父について骨董を見続け、そして独立して商ってきた著者の体験談は、やはり、その世界に長く棲んできた者でなければ書き得ないものである。

著者の語り口はソフトだが、ニセモノを巡って行われる駆け引きや騙し合いはかなりえげつない。そして、読んでいるうちに、結局誰が被害者だったのか解らなかったりもする。実名を挙げているものもある。よくここまで書いたなぁという気がする。書けないようなもっと凄いものがあるのかもしれない、という想像もしてしまった。

この作品の中では、自身が騙された事例も挙げているのだが、その顛末も含めて著者は目利きに絶対の自信を持っている。そこがチョット鼻につかないでもないが、そこまでの自信がないとこんな作品も書けないし、この世界を渡り歩いていけなかったのだろう。

著者はあとがきで、「完全無欠なホンモノしか存在しない社会は、人間のいちばん大事な活力を奪うものでしかありえない(以下略)」と記している。確かにそうかもしれない。

魑魅魍魎が跋扈する骨董・古美術商の世界の面白さ

私事で恐縮だが、「開運何でも鑑定団」なる番組を観出したのはつい最近。
中島誠之助氏が古伊万里や染付の権威だとは、この番組を観るまで全然知
らなかったどころか漫画「美味しんぼ」の原作者、あるいは作画だと思い
込んでいた。
ソーセージをかじりながら「うーん、いい仕事していますねぇ」なんてい
かにも、「美味しんぼ」に出てきそうなセリフではないか。
真剣に、このCMの人は雁屋哲氏か花咲アキラ氏のどちらかで、あんがい
歳をとっているんだなと思っていた。

それはともかく、なんとなく観出した「鑑定団」。
中島氏の鑑定の口調は骨董に対する深い造詣に裏打ちされた論旨明快で説
得力にあふれたもので、ダメなものはダメ、偽物は偽物とはっきり断定す
るが、聞いていて嫌なかんじはしなく、しかも「たとえ本物でなくてもこ
れを買われた方にとってはずっと大事にしてきた宝物。これからも大切に
してあげてください」とフォローする人柄は優しい。

そんなテレビでの氏の口調とほぼ同じ文体なので、読み始めたらすんなり
と頭に入ってきて、読むページが大いに進んだ。
ご自分のお父上が骨董に手を加えて人を欺いた手口なども紹介しており、
功成り名遂げた今では、普通なら隠したがる過去を開陳している。
正直で誠実な人なんだと思う。
狸とキツネの化かし合い、あの手この手で欺いたり欺かれたりのこの世界
の裏側を実に生き生きと描いていて、最後まで一気に読めた。
南青山のニセモノ名人のジイサンの話は笑いの中にペーソスがあふれ、特
に秀逸。
価格以上に「いい仕事していますねぇ」と言いたくなる本。
そして絶対、俺は骨董には手を出さないぞ、とも思った。
そんな金もないけど。
つねに相手を称えて、同時に自分を売る

 著者本人がまんまと騙されたニセモノの話や、有名な贋作事件、そして著者の父がしかけた手の込んだニセモノの数々。
 たくさんのお話ひとつひとつがとても興味深く面白いもので、一気に読んでしまいました。
 ニセモノそのものの精巧さもさることながら、売るための舞台装置として、
「お屋敷を借り、お手伝いさんまで雇っている…。」
 という、大掛かりなものまで紹介されていて、面白いです。

 「ニセモノを骨董商同士でやり取りして、あとで分かった場合も、
『目が利かなかったのだから』
と買った本人の責任であるという不文律がある。」

 といった、素人からは、うかがいしれない世界も紹介されていてとても興味深く読みました。

 騙したり騙されたりといったお話なのに、明るい気分でと読みすすめられるのは、その世界に身をおいている著者の
「信用と目筋で責任を持つ」
という姿勢や、
「日本文化の真髄は骨董商に伝えられているという誇り」
文章に出ているからなのでしょう。

 骨董の佳器を眺めながら
「いい仕事だねえ」
と酒を飲んでいた著者の父親の描写などを見ると、骨董に対する愛情が伝わってきてしみじみします。

 骨董そのものに、詳しくない私でも、骨董に対する愛情が伝わってきて、とても楽しめる本でした。
 とても面白かったです。



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